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酒を飲んでるときに突然「格差社会をどう思う?」と訊かれた。ボク自身が貧乏人にランクされる人間だから、その立場で何か言えばいいのか、概念的な答えが期待されているのか分からないまま酔いにまかせて「それが資本主義なんだから、しょうがないだろ」と応えた。すると、当然のように貧しい人の生きる権利とか自由はどうなるとか猛攻撃。あー、酔った頭にはめんどくさい。どうせ、まともに議論しても相手が譲る気配がないから、話をすり替える。「あのね、サンフランシスコにもね、若い失業者が観光地あたりにゴロゴロしていて、ものすごく暗い顔して仕事がないの…とか言いながらスリよってくるんだ。でもさ、ここの貧乏人はすごく前向きで明るい。ボクはその前向きさを高く評価している」みたいなことを言った。彼は満足そうな笑顔。当然だろう。昔むかしから、ここは格差社会を良くも悪くもエネルギーとして発展しているのだから。
ニューヨークで日本人に会うと余程嬉しいらしく、出会ってすぐにベタベタする人がいる。ボクは基本的に苦手。仕事終わりに、どうしてもというリクエストで寿司屋へ。西海岸風でも東海岸風でもない本物の日本式寿司屋。「えー、ご主人は仙台出身なんですか、仙台はいいですよね…」なんて会話から始まり、どんどん無茶振りオーダーになる。それでも苦労人のご主人は軽く笑って応える。マンハッタンのマグロは間違いなく旨い。で、あっと言う間に2時間ほど。さて「いくら?」と友人がいうと、控えめな奥様らしきヒトがそっと勘定書きとカウンターに置く。はきり言って、ニューヨークの飲食代は東京より若干安い。寿司屋だってかなりリーズナブルな店は多い。しかし、その勘定書きに並ぶ数字は桁はずれ。ま、ボクの支払いじゃない。それに、多分それは通常の価格じゃないだろう。友人の態度が問題だったと思う。でも、止めなかったボクも少し反省した。「ごめん、ご主人。今度は一人でマグロ食べに来ます」。
たとえばチャイナタウンに行って、急に焼きそばが食べたくなって、適当な店(リーズナブルな)に入って焼きそばだけを頼む日本人。あるいは「とりあえずビールね」なんていう日本式ビジネスマン。まあ普通に焼きそばだけでいいならテイクアウトでしょう。「とりあえずビール」っていうのなら居酒屋だと思う。多分、正しくはシュウマイ、餃子みたいなものをひとつ、そして焼きそば、その後に飲み物のオーダーだと思う。ま、普通だと思うけど正しい日本式ビジネスマンは「面倒臭せぇ!」と言う。でも、これはチャイナタウンの店に限った話じゃない。デリカテッセンの飲食コーナーでも同じ。どんなチープな飯でも、食事を楽しまなければいけない。メニューを穴が開くほど眺め、材料について質問などして、ふーむと一息おいて鷹揚に「焼きそばを頼む。それと、飲み物はミネラルウオー」などとつぶやくのが正しい。そして支払いの時「うまかった。ありがとう。」と言えればさらにいい。
全米の観光都市でニューヨークが最下位になったらしい。一位がニューオリンズ。何だか意味の無い無駄なアンケート結果発表のような気がする。アンケート結果がどうでもニューヨークには数千万人という移動人口がある。たぶん全く影響がない。古都ニューオリンズが一位になっても、ジャズファンがニンマリするだけだと思う。ボクが好きな町が最下位だったから拗ねているわけじゃない。むしろ、むふふと笑いたい気分。だけど「うるさい町」「ダメなタクシー」とかいう批判はわかるけど「不親切な」という批判は全くピンとこない。ボクは、ここくらい親切な人が多いところはないと思う。だって、英語ダメでも大丈夫だし道は分かりやすいしお金が無くても楽しめる。だけど、あれです、南部なまりの観光客に話しかけられるとドキドキしてしまいます。
ポロのメンバーズクラブ(まあ、上品なバーです)に誘われた。当然、会員の同行、紹介がなければ入店できないそこそこ格式ある店。なるほど上等の英国趣味だけど、何かが違う。静かで、スタッフも行儀良く、ソファーの座り心地もいい。だけど、違和感…。そうだ、高慢な態度という英国らしさが全くないと気づいた。あの高慢さは、イギリスにいると全く腹が立つけど、ニューヨークで偽物に出会うと、やっぱりアレがないとダメだと思うから不思議だ。で、落ち着いて、改めて店のサービスとかスタッフの対応をチェックしてみると、なんか日本の香りがする。アメリカ人が上品を気取ると日本的になるなんていうと怒られると思うけど、そんなカンジがする。そうなると急に居心地も悪くなって、正しいマンハッタン的バーへといそいそと移動。ごめん。
いつも思うことだけど、言葉は自分の思考、行動に大きな影響を与えている。日本語はとてもウエットで、ウエットだから言葉選びに気を使う。片言だけど英語を使っているととにかくきっちりはっきり言うということを自然にしている。日本で日本語ならゼッタイ言わないということも言える。例えば、買い物でおつりが間違っていた時「あのー、すみません」という日本語。「おい、君、間違ってるよ」という英語。どちらが正しいとかじゃなくて、その言葉を口にした瞬間、人間性も変わる。日本語で「ありがとう」と口にすると、相手の行為にありがたい(仏教的に)と思う。英語でThank youと口にすると「君に感謝してるんだ分かってくれるかい?」という気分になる。で、伝わると(ま、形式的に)「どう致しまして」と返ってくる。Yor welcome! It ok! It my pleasure!などなど。だけど、It my pleasure!にあたる日本語はない。反対に「こちらこそ、ありがとう」という日本に代わる英語はない(言えるけど意味が違う)。It ok!は最近「大丈夫」という日本語が対応している。どうも、国際化はヒトの思考、態度も変化させているようだ。
たぶん今頃マンハッタンをウロウロしているヒトは観光客か仕事が終わらないというヒト。そして町は、セール!セール!で賑やか。面白いのは普段地味で小さな画廊までセール!普段の10倍くらい愛想もいい。観光客がたくさん買い物するから大きなバッグが良く売れる。だから普段バッグを扱っていない店でも店頭セール!結構良く売れる。いつもは気取ったブランドショップの店員も満面の笑顔。これは不思議な風景。スタッフを総入れ替えしているのかとさえ思える。朝は早朝からデパート、ティファニーに長い行列。昼も夜もレストランは満員。「ヘイ!今ならテーブルひとつだけ空いてるよ」と声掛けられても、そんなに高いスペシャル・ディナーは要りません。
来年、マンハッタンのイエローキャブが順次、日産のエコカーに変わるらしい。環境のためになって、居住空間はゆったりしていて荷物室も広いからバゲッジも楽々。車高が高く広々したカンジはちょっとロンドンのクラッシックタイプに近い。…といいことだらけなんだけど、個人的にはポンコツキャブの方が好きです。
ハローウィンが終わったらサンクスギビングのパレード。パレードで賑やかだけど店は開いていないから、帰る家がないとパレードのあとは凄く寂しい。でも、パレードはココロ踊る。だけど、なんでみんなこんなにパレードが好きなんだろうと思う。家族がない人間は、さて、きょうはどうやってご飯を食べようと悩むのに。もうひとつ、思わずうなるのが、パレードの終了と同時に始まるクリスマス。ばたばたと飾り付けが変わる。余韻なんてない。全くない。ま、そこがこの町らしいところなんだけど…
雪のマンハッタンはきれいだけど、寒さは半端ではない。薄着だと心臓が痛くなる。空港ではオーバーランの事故多発。路上生活者は寒くて酒に走り、その結果、帰れないところまで走り抜けてしまう。セントラルパークの鳩も羽の間に空気をいっぱいに入れてボールのようになる。ボールのように着膨れした人は信号の辺りで転倒。行きつけのカフェの店頭には「本日休業」。
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